雲が描いた月明り|第17話あらすじ|「始まりのための終わり」
第17話の主な登場人物
世子 イ・ヨン | 領議政率いる金氏の支配を変えたいと尽力する。サンノムを愛している。 |
---|---|
ホン・サンノム(ホン・ラオン) | 世子を愛するが、逆賊の娘とわかり身を隠す。逆賊の父と獄舎で再会するが…。 |
キム兄(ビョンヨン) | 世子の護衛だが、白雲会の一員。 |
キム・ユンソン | 領議政の孫息子で一族の長となる立場。かつての幼馴染、世子とキム兄と疎遠になるも、ひそかに2人を助けている。サンノムに片思いしている。 |
領議政 | 朝廷の実権を握り、臣下の最高峰にたつ金氏の長。 |
ホン・ギョンレ | かつての乱の指導者。宮殿に捕縛されている。サンノムの実の父。 |
王妃 | 領議政の娘。王との間の子供が実は女の子だったことを隠している。 |
ハヨン | 世子妃となる。世子を心から愛している。礼曹の娘。 |
第17話あらすじ
刀を突きつけられた世子。
それでも、大臣らが兵を近づけさせようとするが、王が止める。
それを見た尚膳が、「世子様の安全が最優先」といい、道を開けさせる。
ホン・ギョンレの縄を解き、その場から連れ出す白雲会の間者たち。
サンノムも一緒だった。
その様子を目で追う世子。
サンノムも世子を心配しながら去るしかない。
やがて、その場に残ったのはキム兄ひとり。
官兵たちに囲まれる中、世子に詫びるキム兄。
「白雲会が望む世界と、世子様が望む世界は同じだと信じています」という。
弓をもった兵まで出てきたところで、キム兄は刀を下げようとする。
それを制する世子。
「下げるな! その刀を下げた瞬間、私はお前を失う!!」
命令だと告げるが…。
「命令にそむいて申し訳ありません」と刀を落とすキム兄。
その瞬間、矢でいられた上、刀で切られる。
倒れ込むキム兄に、駆け寄ろうとする世子だったが、周囲の兵に止められ近づくことができない。
「どくのだ!!!」叫ぶ世子。
この様子を見ていた王が倒れる。尚膳が王を寝殿へ運ぶよう指示する。
この間に、兵を制してキム兄の元に駆け寄り、抱きかかえる世子。
「ビョンヨン…忘れるな。
私がこの世で信じるものは、今も変わらずお前1人だ」
そういう世子に、「信じてくれて、ありがとう」というキム兄。
わざと敬語を使わなかったのは、「最後の瞬間だけは、友でいたい」という想いが込められていた。
***
宮殿の外門では、今まさ脱出しようとするホン・ギョンレたちがいたが、門番に咎められていた。
そこへ現れた尚膳が、「王命で、義政府に搬送する」と命令し、門が開かせるが、追手の兵たちが、襲い掛かってきた。
「私が時間を稼ぎます」といって、門の外に彼らを出した尚膳。
門を閉めようとした瞬間、背中を切られてしまう。
兵たちを防ぎながら、息も絶え絶えになりつつ、門を閉めた尚膳だったが、ここで命を落としてしまうのった。
涙ながらに門を閉じる尚膳を見送るサンノム。
父と共に、門外に用意された馬に乗って脱出するのだった。
***
宮殿では、キム兄の亡骸を乗せた荷車が引かれてゆく。
荷車を止めさせ、「この者の友人だ。遺体だけでも引き取りたい」というユンソン。
世子と同様、ユンソンにとってもキム兄は大事な幼馴染だった。
金を握らせて、遺体を引き取ることに成功し、キム兄の手を握るユンソン。
すると、キム兄の指がかすかに動くことに気づく。
キム兄は、死んでいなかったのだ…!!!
***
あれから1か月後。
宮殿では、宮外に出て、妓房や賭博場で遊ぶ世子が問題になっていた。
朝廷にも出仕せず、遊んでいることを問題視する大臣たち。
国を憂う儒学生たちからも、「世子を廃位させるべきだ」という上書が数多く届いていた。
大臣や儒学生たちから責められ、ハヨンの父=礼曹が表だってかばうが、大臣たちの攻勢は続いていた。
領議政と礼曹の対立も深まるのだった。
一方、この日も出仕せず、妓房を訪ねていた世子。
妓房を出たときに、中宮殿所属の内官が、入れ替わりに入っていくことに気づく。
その後を追う世子。世子は、遊んでいると見せかけて、あることを実行に移そうとしている。
***
その頃、王妃の宮殿を、王妃の実の父・領議政が訪ねていた。
王妃に、「王妃が産んだ子を、世子に入れ替える」ことを決意したと告げる領議政。
喜ぶ王妃だったが、ユンソンが真実を知っていることが気にかかっていた。
***
茶山先生の屋敷。
生き延びたキム兄が、ここで治療を受けていた。
1か月たっても目を覚まさないキム兄。この日は、世子がここを訪ねてくる。
「ビョンヨン、来たぞ」という世子。
もう傷はふさがっているのに、一向に目覚めない友に向かって、語り掛ける。
「もう少し休んでいたいのだろう? 今まで孤独に生きてきたのだから」
キム兄を気遣う世子に、「世子様に会う心の準備をしているのでしょう」という茶山先生。
世子は、ラオンのことも尋ねるが、茶山先生は「連絡がない」という。
「寂しいのですか?」と聞かれるが、「いいえ。おかげで楽しく遊べています」という世子。
実は、金氏一族(=領議政)の土地、金、人脈まで、すべて監視しているという。
「尻尾をつかんでも、それを切り落として逃げてしまうから気を付けてください」と忠告する茶山先生。
うなづく世子だったが、「領議政が抜けた穴は、先生に埋めてほしい」と、朝廷入りの準備を始めるよう依頼するのだった。
領議政と世子。お互いに一歩も引けない戦いが始まっていた。
***
ユンソンに真実を知られ、焦る王妃。
密かに、本当に実の娘が妓房にいるのかを調べさせていた。
本当に妓房に、該当する赤子がいることを知り、言葉をなくす。
ユンソンを呼び出した王妃。
「まもなく世子が変わる」と、逆にくぎを刺そうとしていた。
「これまで黙っていたのは、血縁の情だけです」と逆返しするユンソン。
「自分の口で、真実を明かしてください。それが、私の最後の好意です」と告げる。
色をなくす王妃だったが、そのやりとりを密かに聞いていた人物がいた。
領議政だった。真実を知ってしまうが、王妃の部屋には入らず、その場を後にするのだった。
***
一方、茶山先生の屋敷を尋ねる人物がいた。
サンノムだった。
目を覚まさないキム兄に、話し続けるサンノム。
取り留めない話をしていた最中…。
ついに、キム兄が目を覚ました。
「相変わらず騒がしいな」というキム兄に、喜ぶサンノム。
まだそのことを知らない世子は、滋源堂でひとり。
3人で過ごした昔を懐かしんでいたが、世子妃となったハヨンが訪れ、
「世子様の想い人がわかってしまいました」と告白されていた。
「世子妃として、世子の座を守れるよう、努力いたします。
最後まで世子様のそばにいるのは、私ですから」
切ない告白をするハヨンなのだった。
***
翌日の朝廷。ますます、世子の廃位を王に迫る大臣たち。
その瞬間、世子が朝廷に入ってくる。
そして、その大臣たちに向かって、似顔絵を見せるのだった。
怪訝な顔をしている大臣たちだったが、実は、この似顔絵は世子襲撃事件の犯人の死に顔の絵だった。
「この者たちは、実に多くの証拠を残していました」という世子。
金で襲撃者たちを雇った人物がいると告げる。
世子の合図で入ってきた官兵たち。罪人を一人連れていた。
襲撃事件の関係者だった。
「この中に、お前に命令を下したものはいるか?」という世子。
罪人は、おもむろに、2人の大臣を指さす。
その上、金のやりとりを記した帳簿まで出てきていた。
白雲会のしわざに見せかけたのも、この2人だと明らかになる。
「これが罠です!」と言い張る大臣たちだったが、世子の命令でとらえられるのだった。
それを見送る領議政。世子とにらみ合うが、この場ではなすすべがない。
2人を捕らえても、領議政が2人を捨てれば、尻尾切りで終わってしまう。
そのことは百も承知の世子。
「まず右腕。次に左腕。最後に頭を切るまで、絶対に気をゆるめてがいけません」
そういった茶山先生の言葉を、今一度振り返る世子なのだった。
***
世子の次の一手。
それは、領議政が決して逃れることがない一手だった。
朝廷を出て、廊下で対峙する2人。
そこで、世子は、領議政に「ある別の似顔絵」を見せた。
「少し前、子供を産んで死んでいった女人の顔です」と告げる。
「この子が、いまどこにいるか、気になりませんか?」
密かに、ユンソンと王妃の会話を思い出す領議政。
世子は、あの秘密を知っているのか…。
***
その頃、宮殿のある場所へ、お忍びでやってきた王妃。
実家の者から、「妓房で預かっていた赤子が、宮殿に連れていかれた」と聞いたのだ。
いてもたってもいられない王妃が、密かに赤子を探しにきていた。
そこへ、赤ん坊をあやす世子妃が目に入る。
あわてて、世子妃を呼び寄せる王妃。
聴くと、「世子様が預けていかれたのです」という。
赤子をかわいがる世子妃を見て、思わず赤子を見てしまう。
世子がこの件を知っているのか…。
おびえながらも、我が子の顔を見て感極まる王妃なのだった。
***
キム兄が目覚めたことを知った世子が、茶山先生の屋敷を訪ねていた。
「なぜ、あんなに長く寝ていたのだ?」という世子に、
「あわせる顔がなくて…」というキム兄。
「私と、私が愛する女人を守ってくれただろう?
…何よりも、こうして戻ってきてくれて、ありがとう」
そういう世子に、サンノムが時々ここに看病しにきてくれることを告白するキム兄。
「すべての準備が整ったら、必ず迎えにくる。
私の横で、昔のように笑って幸せに暮らせるように」
そこにはいないはずのサンノムに向かって、語りかける世子。
「そうなったら、また3人で一緒に茶でも飲もう」
今度はキム兄に向かっていう世子。
この言葉にを、幸せな気持ちになるサンノム。
実は、この様子を家の陰から聞いていたのだった。
***
その夜の中宮殿では、領議政と王妃が緊迫した話をしていた。
いまの大君が、王妃がすり替えた子だと知っていると告げる、領議政。
「王の血筋を冒とくするのか」といさめながらも、
「この秘密を隠し通すことができなければ、王妃も死ぬしかないだろう」と宣告する。
席をたとうとした領議政に、「領議政!」と呼んで、座りなおさせる王妃。
実の父をこうよんだのは、初めてだった。
父の顔も知らないまま妓生の中で育てられたのに、王妃にすえたのは領議政だとなじる王妃。
王妃の地位は、最低でも両班でないとなれない身分だった。
母が妓生である王妃は、本当はこの地位にはつけない身分だった。
「王室を冒とくする」というなら、最初に始めたのは父ではないか。
「万が一、私に手を出したら、領議政も覚悟が必要です」
そういって、今度は領議政を脅す王妃なのだった。
***
その頃、東宮殿では、世子とユンソンが一緒に月を眺めていた。
これまで、金氏一族の長子だという理由で、疎遠になってしまったことを述懐する世子。
ユンソンもまた、金氏一族だということから逃げたかったと告白する。
ユンソンへの友情を感じながらも、言葉を続ける世子。
「これから、やりたいと思ったことをする」と宣言する。
「でも、お前を傷つけるのが怖い」
それを聞いたユンソンもまた、、、
「私も怖いのです。家門を守りたくなるのではと」。
「だから、この先何があっても。私に申し訳なく思う必要はありません。
お互いに、そうと知りながら、始めたことですから」
***
自宅に戻ったユンソン。
そこには、ある決意をする祖父、領議政がいた。
「どうせ血筋が変わってしまうなら、より確かな者に変えてしまうか…」と思い始める領議政。
領議政の頭には、幼いころに顔相師が告げた言葉が蘇っていた。
顔相師に、「王族にふさわしい気品がある」といわれたのがユンソンだった。
王妃の偽物の大君に王を継がせるなら、ユンソンをたてればよいではないか…。
大きな野望が生まれはじめていた。
***
そんなことには気づかない世子は、東宮殿で夜を過ごしていた。
夜遅くまで、書物を読む世子の前に、世子妃ハヨンがやってくる。
疲労回復に効く薬を飲むよう、勧めるハヨン。
「世子妃として、このくらいのことはさせてほしい」という。
ふだん薬をほとんど口にしない世子だったが、この頼みは断れなかった。
毒味役の尚宮が、薬の毒味をした後、ハヨンが世子に薬を差し出した。
世子が口にしたのと同時に、ハヨンは、自分の銀の指輪が黒く変色したことに気づく。
あわてて世子の器を取り上げるハヨンだったが、世子の顔が苦渋に歪んでいた。
そして、目の前でゆっくり倒れていく世子。
これは、明らかに毒!! 何者かが世子の薬に毒を仕込んだのだ。
***
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