雲が描いた月明り|第10話あらすじ|「おとぎ話のように」
第10話の主な登場人物
世子 イ・ヨン | パク・ボゴム演じる皇太子。サンノムとついに相思相愛になる。 |
---|---|
ホン・サンノム | 実は女人だが、内官として宮殿で仕える身。世子を受け入れる。 |
チョ・ハヨン | 礼曹(イエパン)の娘で、唯一金氏一族と対抗できる家柄の娘。世子妃にという話が持ち上がる。 |
キム・ビョンヨン(キム兄) | 世子の護衛で幼馴染。サンノムの正体を知るが、秘密にする。 |
キム・ユンソン | 領議政の孫息子。金氏一族の本家の長子。サンノムを愛している。 |
野菜売りの少女 | 風燈祭りで世子に風灯を売った女の子。宮殿に野菜を納入する父の手伝いをしている。 |
王様 | 朝廷内で孤立する世子の味方を作ろうと、礼曹の娘との婚礼を急ぐ。 |
尚膳(さんそん) | 内官の長。これは表の顔で実は…。 |
第10話あらすじ
初めて、サンノムの本当の名前を呼んだ世子。
「ラオンというのは、楽しいという意味では?」
「父がつけてくれました」というサンノムに、
「お前にぴったりの名前だな」と微笑む世子なのだった。
翌朝の東宮殿。
とっくに起きて、サンノムが来るのを待っている世子。
「世子様。お目覚めですか?」
サンノムの声に、すかさず入るようにいう世子。
着替えを手伝うサンノムに語り掛ける世子は、
ことあるごとに、「ラオン」の名を呼ぶ。
「誰かに聞かれたらどうするのですか?」というサンノム。
「二人だけのときに呼ぶ。ラオン」と世子。
「今まで呼べなかった分、惜しみなく呼ぶ、ラオン」
「はい。世子様」
嬉しそうな2人。
***
白雲会の隠れ家。
世子の護衛として、サンノムと共に滋源堂で寝起きするキム兄。
実は、宮殿に派遣された白雲会の間者でもあった。
「ホン・ラオンのことはわかりませんでした」と報告するキム兄。
悩んだ末、報告をためらうキム兄なのだった。
***
そのころ、白雲会が町でまいたチラシが問題になっていた。
「国の主は、民である。王ではない」
民を顫動しようとする白雲会。
かつてのホン・ギョンレの反乱の生き残りが、再び活動を始めていた。
かつての反乱に過敏に反応する王様。
「私に任せてください」と申し出る世子を退け、兵に捕縛を命じるのだった。
父王の尋常ではない様子に、焦る世子。
キム兄に、「ホン・ギョンレの娘の行方がわかったか?」と尋ねる。
世子にも、真実を隠すキム兄。
領議政は、再び世子にくぎを刺す。
「世子が摂政をしているから混乱を招いているのではありませんか?
私たちを頼ってはいかがです?」
これを退ける世子。この悪縁を断ち切るには、この問題を解決するしかない。
宮殿では、大規模な持ち物検査が始まっていた。
かつてのホン・ギョンレの乱でも、宮殿内部に間者がいたことを、
王も重臣も忘れてはいなかった。
女官はもちろん、医女、内官まで調べられ、
宮殿内はものものしい雰囲気になっていた。
東宮殿で、世子の寝床の準備をするサンノム。
疲れた様子の世子が帰ってくる。
「いまお帰りですか?
宮殿内が騒がしくて大変だったでしょう?」とねぎらう。
一日中サンノムに会えなかったから疲れたという世子。
サンノムは、床に横になるよう勧める。
すると、世子はサンノムの膝に頭をのせて横になる世子なのだった。
驚くサンノムだったが、世子をひざに乗せて語りかける。
「最近、よく眠れていないのでしょう?
世子様が眠るまで、面白い話をしましょうか?」
西洋のおとぎ話「人魚姫」の話を始めるサンノム。
目を閉じる世子の顔に、指を伸ばす。
その手をつかんで、目を開いた世子。
「その王子は、私のようにかっこよかったのか?」と尋ねる。
「はい。人魚姫が一目で恋に落ちるほどですから」
世子は、「お前のようにか? ラオン」
目でうなづくサンノム。
世子がラオンの名前を呼ぶのを、扉の向こうで聞いてしまうキム兄。
「サンノムの本当の名前がラオンだ」と世子が知っていることに気づく。
一方、臣下と世子の関係に悩む王様。
宮殿に見方を作らないと、自分のようになってしまうと心配する。
尚膳に、世子の味方を作るために、チカラのある家臣の娘を世子妃に迎えるという。
密かに、礼曹(ハヨンの父)を呼ぶよう指示するのだった。
翌朝の東宮殿。
科挙で主席をとった者と面会をする世子。
たまたまその場に来たサンノム。
その主席の者が、かつて恋文を代筆した若様だと知って驚く。
「知り合いなのか?」と怪訝そうな世子。
「いえ。たまたま何回か すれ違ったことがあるだけです」と言い訳する。
東宮殿を出た若様とサンノム。
久々の再会を喜び合うが、そこにやってきた公主を前に。
若様は姿を隠してしまう。
「どうしてそんなに驚くのだ?」と問う公主。
「いえ。あまりにお変わりになられたので驚きました」というサンノム。
ダイエットに成功した公主とは、既にわだかまりも消え、親しく話す間柄になっていた。
一方の世子。
私服に着替えて、宮殿の調理場を通りかかる。
そこには、かつて風燈祭で、行灯を買った少女がいた。
親しく話す2人。
女官が気づいて、世子の名を呼ぼうとするが、静止する世子。
身分を明かさない。
「世子のおやつを今日はこの子に与えるのだ」と女官に耳打ちして去る。
そのころ、王の寝殿では、ひそかに呼ばれた礼曹がいた。
「娘を世子妃にしようと思う。世子の味方になってやってくれ」と頼む王。
とまどう礼曹は、いったん答えを持ち帰る。
父の礼曹から、その話を聞いたハヨン。
「たとえ私自身ではなく、家門のチカラが必要なのだとしても。
世子さまを支えたい」という。
この動きは、完全に領議政と反目することになる。
世子妃選びで、領議政に邪魔をされたら、一生独身のまま過ごさねばならない。
それでも良いのか?と問う礼曹。
「それでもかまわない」と伝えるハヨンなのだった。
宮殿で、サンノムが、仲間の内官に両脇を抱えられている。
そこにやってきた世子が、怪訝な顔をしている。
「足をくじいてしまい、安全に連れて行こうとしていたのです」
と言い訳をする内官たちを下がらせる。
「よくやるな」という世子。
「柿をとろうとして落ちてしまったのです」というサンノム。
「誰彼かまわず肩をかけて、笑いかけた上に、ケガまでして!」
とサンノムを咎める。
「二度とケガするな。命令だ。
ほかの者の前では、笑いたくても笑うな。これも命令だ」
無理難題をいう世子。
「イヤでございます!!」と反発するサンノム。
「イヤだと?!」
サンノムのおでこをはねようと指を伸ばす世子。
思わず目を閉じるサンノムに、ふっと笑いかけると、
持っていた本でサンノムの顔を隠した。
ほっぺにキスされるサンノム。
「これは罰だ。世子の命令にそむいたバツ」
そういって、にっこり笑う世子なのだった。
足をくじいたサンノムを、近くの殿閣に連れていく世子。
殿閣の軒下で、足の状態を見る。
「動き回ると悪くなる。私が戻ってくるまで、ここにいるのだ」
と命令するのだった。
父王に呼ばれ、父の寝所を訪れる世子。
そこで、礼曹の娘と結婚するように命令される。
礼曹の家門は、唯一、領議政の家と対抗できるという王様。
「それをしても、また外戚を増やすだけです。
私は私のやり方で、味方を作ります」という世子。
結婚話をなかったことにしてほしいと訴えるのだった。
王との面会の後、心が乱れる世子。
キム兄と刀の修練で気を紛らわせようとするが、勝てない。
途中で、サンノムを待たせていることを思い出し、あわてて戻る世子。
すっかり暗くなり、その場から離れようとしているサンノムを見つける。
「待っていろとおっしゃったのに、今頃お越しですか?」
少しすねているサンノムに、思わず安堵の笑みを浮かべる世子。
「笑っている場合ですか?」というサンノムの前に、かがんで背を向ける。
「私におぶさるのだ」
驚いたサンノムは拒否するが、「他の内官がケガしても同じことをする」という世子。
「いつも、命令だ、命令だとおっしゃって」
ドギマギしていうサンノムに、「では、従わないのか?」と怒った顔をする世子。
しぶしぶ背中に乗ったサンノムをおぶった世子。
ゆっくり宮殿の中を歩いていく。
「誰かに見られたらどうするのですか?」と心配するサンノム。
「ひと気のないところくらい、よく知ってる」という世子。
歩きながら、先日の人魚姫の話の最後を尋ねる。
「ほかの王女様と結婚したので、人魚姫は泡となって消えてしまいました」
まるで、いまの自分の状況のような話に、顔が曇る世子。
悩みを断ち切るように、東宮殿と滋源堂をこのまま往復するといって、
駆け出すのだった。
世子の婚礼話は、王妃の心配を極限にまで高めていた。
世子妃の存在は、世子の地位を固めることになってしまう。
王妃のお腹の中にいる子が、男の子なら話は変わってくるはずだが、
占い師によると、腹の子は女の子だという。
王妃は、ひそかに、妊娠している女官を宮殿内にかくまい、
食事などの世話をさせていた。
「どんな手を使っても、大君(王妃が生んだ王子)を生んで見せる」
翌日、内侍院。
まもなく、「世子妃選びの準備」を始めることを聞いたサンノム。
世子の結婚話に、大きなショックを受けていた。
宮殿の松の木の下で悩むサンノム。
ユンソンがやってきて、横に座る。
サンノムの悩みが何か?を悟るユンソン。
「気づかないふりをしようと思いましたが、顔に出ていますね。
もう少し、ここでお休みください」と言って去る。
「泣きたいだけないたら、私の元に来てください」
ユンソンもまた、サンノムに恋する気持ちを止められないのだった。
その頃、宮殿の調理場では、例の野菜売りの少女が捕らえられていた。
白雲会のチラシを持っていたのが、捕縛の理由だった。
それを知った世子が、少女を解放するよう王様に嘆願するが聞き入れられない。
一方、尚膳の部屋に届けものをしていたサンノム。
机の上に、サギ草の花の刺繍が入ったハンカチを見つける。
そこへ入ってきた尚膳。
サギ草のハンカチが気になる理由を尋ねる。
「母が同じような刺繍をしていた」という。
清の使臣の事件で聞いた、家族の話を思い出した尚膳。
「もしや?」と思うことがあった。
婚礼の話に悩んでいた世子は、ひそかに茶山先生に会う。
「宮殿に出仕して、私の助けになってほしい」という世子。
そして、もう1つ。
「ある女人を手放さないために、お考えをお貸しください」と頼んでいた。
その答えが見つかったと手紙を受けた世子。
滋源堂に向かう。
世子に会えたサンノムが、嬉しそうに笑う。
「私に会えて、そんなにうれしいか?」という世子。
サンノムは「何度見ても、目があっただけでもうれしいのです」という。
サンノムが婚礼話を知っていることに気づいた世子。
「どうして知らぬふりをしたのだ? いや、なぜ平気なふりを?」
「努力しても解決法はないのですから、あまり悩まないでください。
泣いてばかりいるつもりですか?」とサンノム。
「なんだ。何もなかったように笑って。
ある日、水の泡のように消えるつもりだったのか?
方法を見つけたのだ」
そういって、茶山先生の手紙を渡す世子。
「お前から聞いた話は気に入らぬ。
私がその話を変える。その2人は、末永く幸せに暮らしたそうだ。
私たちのように」
そういって、サンノムの頭をなでる世子なのだった。
その頃。
白雲会の隠れ家では、キム兄が刀をつきつけられていた。
ホン・ラオンの正体を知っていたことがばれたのだ。
「世子に渡すつもりだったのか? もしくは領議政に?」
問い詰められるキム兄。
「ラオンは何も知りません。
つらい思いをしてきた子です。そのままそっとしておいてはダメですか」
そういうキム兄を許す仲間たちではなかった。
再び刀をつきつけられるキム兄。
今度は、その前に、首領が現れる。
キム兄が顔を上げてみたその顔は… なんと、尚膳だった。
かつて幼いころ。
謀反の罪で一族を殺された後、キム兄を白雲会に連れていったのも同じ顔。
つまり、尚膳がかつての恩人であり、白雲会の首領だったのだ。
翌日。
宮殿の外で、世子を待っているサンノム。
前日の茶山先生の手紙には、
世子に「その恋する女人」を連れてくるよう書かれていたのだ。
人影を見て、世子だと思ったサンノムが顔を向けると、
なんと、そこにいたのは、尚膳だった。
「長い間、そなたを探していたのだ」という尚膳に驚くサンノム。
「話すべきことがある… ラオン」
その名を聞いたサンノムが驚くが、驚いたのはサンノムだけではなかった。
待ち合わせに現れた世子も、その名を呼ぶ尚膳に驚く。
「どうしてその名を知っているのだ?」
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