雲が描いた月明り|第16話あらすじ|「あなたが夢見る世界」

雲が描いた月明り|第16話あらすじ|「あなたが夢見る世界」

第16話の主要な登場人物

 

 

世子 イ・ヨン サンノムの嘘を受け入れ、婚礼をあげようとするが心からサンノムを愛している。
ホン・サンノム(ホン・ラオン) 自分が逆賊の娘だとわかり、世子の安全のために身を引こうとする。
キム兄 世子の護衛だが、白雲会の一員。何かとサンノムを助け続ける。
キム・ユンソン 領議政の孫息子で一族の長となる立場。サンノムを愛し、領議政のようにはいきたくないと宣言する。
領議政 朝廷の実権を握り、臣下の最高峰にたつ金氏の長。
ホン・ギョンレ かつての乱の指導者。捕まり宮殿に送られる。サンノムの実の父。
王妃 領議政の娘。王との間の子供が実は女の子だったことを隠している。
第16話あらすじ

 

「ホン・ギョンレがつかまりました」
この一報は、宮殿中を驚かせた。

 

10年前の乱で死んだはずの者が、生きているというのだ。
王が倒れたのは、これが理由だった、

 

 

ホン・ギョンレが捕まった場所は、サンノムの隠れ家だった。
今まで一度も姿を現さなかったが、自分の妻と娘に会いに来たのだった。

 

***

 

 

ホン・ギョンレは、サンノムの実の父だった。
サンノムが、しゃがみこむ母を見つけたときは、すでに父は護送された後だった。
その姿を見た町の人々も、ホン・ギョンレに気づき、驚いていた。

 

 

その様子を、ひそかに見守る尚膳とキム兄。
義禁府ではなく、宮殿に護送されるという。
「命に代えてでも、必ず脱出させる」という尚膳。

 

その足でサンノムの隠れ家に向かった、尚膳。
寝込む母を看病するサンノムに、「ここは我々が守るから安心せよ」と告げる。

 

 

すると、サンノムは尚膳に「話をしたい」といい、別の部屋へ。
サンノムは、一度も会ったことがない父に、どうしても会いたいと願いでる。
危険だからと止める尚膳だったが、強く願う様子を見て、承諾するのだった。

 

***

 

 

宮殿では、回復した王が、朝廷で大臣たちを集めていた。
「こんなめでたい日に、こんなことが起こるとは!」
世子の婚礼は、この騒ぎで中止になっていた。

 

ホン・ギョンレの尋問は「王様が直接なさっては・・」と進言する領議政。
世子が反対するが、王自身が「自ら行う」と宣言する。

 

***

 

その夜。宮殿の外では、武官に変装したサンノムが、尚膳の使いを待っていた。

 

 

そこに現れたのは、なんとキム兄。
驚くサンノムだったが、「宮殿の中に入るまで、何も聞くな」と言われ、黙って後をついていく。

 

ホン・ギョンレが捕らえられている牢にやってきた2人。
キム兄の見張りの下、サンノムが中に入っていく。

 

 

父に近づき、話かけようとするが、人の気配がする。
後ろを向いたままの父に、サギ草の刺繍がついたハンカチを置いていくサンノム。

 

 

キム兄と一緒に、ひとまず脱出し、かつて住んでいた滋源堂に向かうが、その姿を大臣たちに見られてしまうのだった。

 

***

 

 

2人と入れ替わりに、牢に入ってきたのは、世子だった。

 

「本当に、ホン・ギョンレなのか?」と確かめる世子だったが、まぎれもなく本人で、サンノムの父であることを知る。

 

「あなたのせいで大切なものを失った」と告げる世子。
サンノムのことだとは知らない父は、なぜ民が乱に立ち上がったのかを説き始める。

 

「民のための指導者は、天が選ぶのではなく、民の手で直接選ばれるべきだ」
サンノム父の話に、驚き、言葉をなくす世子なのだった。

 

***

 

滋源堂にたどりついた、サンノムとキム兄。
「今は危険すぎるから、ここに隠れて夜が明けてから出るのだ」
そういうキム兄に、申し訳なく思いながらも、久々の滋源堂を懐かしむサンノム。

 

 

すると、そこへ世子が現れた。
呆然とする、キム兄とサンノム。

 

 

「お前が連れてきたのか?」
世子の言葉に、詫びるしかないキム兄なのだった。

 

***

 

 

その頃、サンノムを見かけた大臣が、領議政にそのことを報告していた。
「確かなのか?」という領議政に、間違いないという大臣。
宮殿内を捜索して、必ずサンノムを見つけ出すよう動き始めるのだった。

 

***

 

 

驚くサンノムを、滋源堂の隠し扉から2Fに連れ出す世子。

 

「ここまで追ってくる者がいたら、ここに隠れるのだ。外からは見つけられないだろう」
サンノムを気遣う世子。亡き母が使っていた場所が、ここだったという。

 

 

「牢の見張りが交代する隙を見計らって、会えるようにしてやろう。
恋しい人には会わねば…」
サンノムと父の再会を手伝うという世子に、言葉をなくすサンノムなのだった。

 

***

 

 

翌朝の宮殿。
宮中の至るところに、サンノムの似顔絵が張り出され、取り締まりが厳しくなっていた。

 

それを見て驚くユンソン。
また、世子妃となるハヨンも、サンノムが女人で逆賊の娘だということに、驚いていた。

 

 

サンノムを外に出すのが難しくなり、尚膳は計画を立てる。
「2日後の未の刻、ホン・ギョンレを脱獄させ、サンノムもそのときに一緒に出す」
細かな手順を指示し、「あの子を守れ」という尚膳に、うなづくキム兄。

 

***

 

 

世子が、東宮殿に戻るとハヨンが待っていた。
「明日、改めて来られよ」という世子。ハヨンは世子の腕に、腕輪がないことに気づく。

 

「大切にしていた腕輪なのに、どうされたのですか?」と尋ねるハヨン。
「別の場所にしまってある」という世子。

 

「恋人同士を再会させる、運命の腕輪なのでは?」というハヨンの言葉に、無言の世子。
その様子を見て、「最近の商人は作り話がうまいものです」とその場をやわらげようとするが…。

 

「嘘だと知りながら、それを信じたい人の心をわかっているのだろう」
そういう世子の言葉に、ハッとするハヨンなのだった。

 

***

 

 

その夜、世子のおかげで、もう1度牢に入るサンノム。
サンノムが差し入れたサギ草のハンカチを見て、娘だと気づいた父。

 

「ラオン…苦労させるためにつけた名前じゃなかったのに。
悪いことをした」

 

 

そういう父に、今までの父への切ない気持ちを言葉にするサンノム。
切ない目で、その姿を後ろから見守る世子がいた。

 

***

 

牢から出た世子とサンノム。その姿を、今度は中宮殿の内官に見られる。
あわてて、王妃にその件を告げる内官。

 

 

2人が、滋源堂に向かっていると聴いた王妃が、そこへ向かおうと扉を開けると、ユンソンがたっていた。

 

たまたま、領議政の使いでお茶を届けに来たユンソン。
内官が報告する話を聞き、サンノムを助けるために動き出す。

 

 

「お話があります」というユンソンを振り切ろうとする王妃だったが、ユンソンに「赤子の秘密を知っている」と脅され、部屋に戻る。

 

「さきほどのお話と引き換えに、赤子の件は黙っておきましょう」
王妃に取引を持ち掛けるユンソン。

 

「証拠などないであろう」という王妃にいうのだった。
「その子が生きていれば、話は変わってくるでしょう?」

 

***

 

 

滋源堂に戻った、世子とサンノム。秘密の隠し部屋に入る。

 

「私のせいで、世子様を危険にさらさないようにと、想っていたのに」というサンノム。
今回の件は、間違いなく世子を危険にしてしまう。

 

「お前と私があずかり知らぬときから、すでに歯車は狂っていたのだ」
だから、申し訳なく思うな という世子。

 

 

「月が雲に隠れているから、もう少しここにいる」という世子。
「1日に何度も、私たちが違う立場で会っていたらと想像してしまう」
ここにいる今だけでも、何も考えずにいたいのだった。

 

 

「ラオン」

 

久しぶりに、名前を呼ばれ、見つめあう2人。
「今日は、久しぶりに、ぐっすり眠れそうだ」という世子なのだった。

 

***

 

 

 

その頃、ホン・ギョンレの幻影におびえる王の緊張は、極限に達していた。
そのせいで、尋問の予定日が早まり、焦る尚膳。

 

「尋問場からの脱出は、牢から出すより10倍は難しい」。
キム兄も、同じ予想だった。

 

そのキム兄に、「例の白雲会の裏切り者を殺したのは私だ」と告げる尚膳。
「大儀の前に、私的な感情は捨てねばならぬ。
私たちが待ち望んでいた方が、無事に出られるよう、総力を挙げるのだ」
暗にキム兄を諭すのだった。

 

***

 

この日も、世子は牢にいるホン・ギョンレを訪ねていた。

 

 

「民が選ぶ王とは、民の言いなりになる王を意味しているのか?」と問う世子。
それを否定するホン・ギョンレに、「私も民のための政治を望んでいる」と告げる。

 

世子の言葉に、自分たちの望みは、『民のための政治ではなく、民による政治』だという、ホン・ギョンレ。そして、こう続けた。

 

 

「天が下した王は、自らを太陽で絶対的な存在だと、考えるでしょう。
でも、民が選んだ王は違う。自分と民は、同じ人間だと考える」

 

「それが、王を消すことなのか?」と問う世子に、
「自分を捨てられる王はいない。あなたが王になったとき、それを許可できますか?」
と聞く、ホン・ギョンレ。身分の区別が厳しい今の朝鮮に、そんなことができるのかと。

 

 

「民が選んだものだけが、民を大切にするのではない。
民を大切にするものが、民を家畜のように扱うはずがない」と答える世子。

 

「私が夢見る世界と、あなたが夢見る世界は同じです。
ただ、現実からどのくらいかけ離れているかの差だ。尋問の後にまたこよう」

 

ホン・ギョンレの尋問が始まる時間になっていた。
世子は、「同じ道を歩むことができるかもしれない」と考えていた。

 

***

 

 

尋問場に、ホン・ギョンレがつながれている。
王や領議政、大臣たち、世子もそろい、ついに、尋問が始まろうとしていた。

 

 

ホン・ギョンレを前にして、平静ではいられない王。
謀反の罪を認めないホン・ギョンレ。拷問が始まる。

 

尋問上のすぐそばには、サンノムが連れてこられていた。
滋源堂の外にいたところを見つかり、捕らえられたのだった。
世子もサンノム父もまだ気づかない。

 

 

罪を認めるよう、問い詰められるホン・ギョンレ。
「乱を起こしたことが罪だというなら、認めよう。
でも、それが罪なら、私と共に大罪を犯した共犯がこの場にいる!」という。

 

驚く王や大臣たち。「その共犯車とは誰のことだ?」
すると、ホン・ギョンレは、予想外の言葉で糾弾した。

 

「民に過度な税金を要求し、そんほとんどをくすねた官吏たち!
「飢えて死にゆく民たちを顫動し、死なせた私、ホン・ギョンレ!!
そして、新たな夜を作るために耐えた、民の希望と命を爆薬と共に消し去った、王!!!」

 

 

尋問場全体が緊迫する。怒り心頭の王が叫んだ。
「この者の首をはねよ!!!」

 

 

それを、世子が必死に止めるが、領議政に思わぬ言葉で制止された。

 

「世子様は、この者の娘と内通したという噂がございます!!」

 

尋問場が驚きに包まれる中、その場に引き出されてしまうサンノム。

 

 

「この者を恋慕したいたのは本当か?」と問い詰められ、言葉を失う世子。
遅れて尋問場にやってきたユンソンも、驚きのあまり呆然とする中。

 

 

ホン・ギョンレが「私の罪とこの子は関係ない!」と分け入るが、領議政の追求は止まらなかった。

 

「世子様自ら証明してください。今すぐ、この娘の首をはねるのです!!」
領議政の言葉に、王も同調し、刀をもった兵が近づいて来る。

 

 

『世子様。今この瞬間から、私を愛さないでください。
ただ、逆賊の娘とだけ思ってください。
愛する女を守れなかったという苦しみを、世子様に残したくありません』
世子を見つめながら、心の中で、こう世子にいうサンノム。

 

 

サンノムに刀が向けられた瞬間、世子が刀をとろうとする。

 

 

そこへ、急に、兵がなだれ込んできた。
官兵の装束を着た、白雲会の手のものたちだった。

 

 

兵同士が刀を向けあい、緊迫する尋問場。

 

 

そのとき。世子を護衛していたキム兄が、突然、刀を世子に向けた。

 

「世子を助けたければ、今すぐ刀をおさめるのだ」

 

 

そう叫ぶキム兄に、世子も驚きを隠せない。

 

 

この場にいる誰もが、驚きで凍りついていた。

 

第17話へ続く

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