雲が描いた月明り|第11話あらすじ|「約束」
第11話の主な登場人物
世子 イ・ヨン | パク・ボゴム演じる皇太子。サンノムとついに相思相愛になる。 |
---|---|
ホン・サンノム | 実は女人だが、内官として宮殿で仕える身。世子を受け入れる。 |
チョ・ハヨン | 礼曹(イエパン)の娘。世子妃候補。 |
キム・ビョンヨン(キム兄) | 世子の護衛で幼馴染。白雲会と世子の間で悩む。 |
キム・ユンソン | 領議政の孫息子。サンノムを愛している。 |
王妃 | 領議政の娘で世子と対立。懐妊中。 |
王様 | 世子の味方を作るため、礼曹の娘との婚礼を急ぐ。 |
尚膳(さんそん) | 内官の長。実は、白雲会の長。 |
茶山先生 | かつて出仕していたが今は町医者。世子が師と仰ぐ。 |
第11話あらすじ
「どうして、その名を知っているのだ?」
世子の声に、今度は尚膳も驚く。
挨拶をする、尚膳。
「この子は覚えていませんが、小さいころ私と関わりがあるのです」
外出を取りやめ、東宮殿に戻る世子と尚膳。
詳しく話を聞くと、「サンノムの母に恩がある」という。
尚膳は「サンノムが女だ」ということも知っていた。
「内官の長として、宮殿でサンノムを守ること」を頼む世子。
尚膳も同意するのだった。
話が気になるサンノム。
扉の外で、尚膳と向き合うが別の機会に話をすることになるのだった。
東宮殿で、世子のための墨をするサンノム。
世子から、この日会うはずだった茶山先生の話を聞く。
茶山先生は、「学ぶことが多い人」だが、
酔うと動物と話をする変わった人だと聴いたサンノム。
「私の祖父も、同じような人です」と返す。
ふと、突然、顔を近づける世子。
身構えるサンノムだったが、眉間に墨をつけられてしまう。
思わず、噴き出す世子。
「面白いですか?」と、サンノム。
「私の気持ちだ。ずっと前から、お前に目をつけていたのだから」
思わず、頬を染めるサンノムなのだった。
一方、サンノムと話ができなかった尚膳。
その頃、宮殿でキム兄と話をしていた。
「これ以上、李氏が治める朝鮮に希望はない」という尚膳。
かつての乱を、ラオン(=サンノム)が覚えているのか?と尋ねていた。
「本人は何も覚えていないようです」と答えるキム兄なのだった。
その頃、宮殿内では大変な騒ぎが起こっていた。
王様の食事に、毒が入っていたというのだ。
食事の毒味役の女官が、料理に銀の匙をつけたところ、
銀が黒く変色したのだった。
色が変わるのは、毒が入っている証拠。
食材を納入した父娘が怪しいということになり、世子が窮地に立つ。
白雲会のチラシの件で捕まった娘が、その父の娘だというのだ。
ちょうど、「娘に罪はない」と大臣の反対を押し切り、
世子が牢から釈放させたばかりだったのだ。
その娘が、父と共に姿を消したことで、大臣から責めを受ける世子。
世子も、呆然とするしかない。
この状況を打開すべく、王はますます世子の婚姻を急ぐのだった。
***
東宮殿には、落ち込んでいる世子。
サンノムに問いかける。
「正しいと思っていたことが、間違っていたらどうすればよい?」
「私の祖父曰く、心が悲しいと全てが疑わしく見えるそうです」
といって、微笑みかけるサンノム。
「それなら、お前が必要だな。
幸せで、私の疑いを取り除いてくれ」といって、微笑み返す世子。
「これで、どうですか?」
見つめあうことで、幸せに満たされる世子なのだった。
まだ「世子妃の話」を、返事していない礼曹。
領議政の屋敷にいた。
「当家との婚姻も、世子様の婚礼が済むまでは、しばし延期ですな」
世子妃には、一族から候補を立てる気の領議政。
「難しく考えず、私の側につくか。敵になるか。
それだけ考えればよいのです」と、くぎを刺すのだった。
その頃、宮殿内で続いていた、内官や女官の持ち物検査で、
サンノムの荷物から、女人服が出でしまう。
その報告を受けた、王妃。
「サンノムが本当に男かどうか」を確かめるという。
王妃の前に、引き立てられてきたサンノム。
自分の女人服を目の前に突き出され、言葉が出ない。
宮殿の庭で、偶然ハヨンと会った世子。
ハヨンは、世子への想いを伝えるが、
世子は「すでに心に決めた女人がいる」という。
「それは、誰ですか?」と問うハヨン。
そこへ、サンノムの災難を知らせる内官がやってくる。
世子は慌てて王妃がいる中宮殿へ急ぐ。
中宮殿では、サンノムがひざまづかされていた。
王妃に顔をつかまれ、責められてるサンノム。
怒気を抑えながら、「その手をどけてください」という世子。
「世子も男色の噂まで出て悩まれているでしょうから、この母が確かめてあげましょう」と、取り合わない。
正攻法で止めても、逆効果だとわかっている世子は、
「ホン内官は、ただちに命を聞くのだ」とわざと返す。
王妃が、サンノムの服に手をかけたそのとき。
尚膳がやってくる。
「服を脱がせるのは簡単ですが、内官と内命婦の品格を守らねばなりません。
この者は、内官の試験を通った者です。
国母が、ご懐妊中にも関わらず、男の体を直接確認されるのですか?
王様が聴かれたら、なんとおっしゃるでしょうか」
王妃をたしなめる尚膳に、わざと世子が言葉を続ける。
「王妃様もこのご気性ですから、直接確認されたいのでしょう。どうぞ、ご確認ください」。
国母としての品格の話に、ためらう王妃。
サンノムから手を放し、身体検査をあきらめる。
世子の思惑通りになり、何とかこの窮地を回避したサンノム。
滋源堂に戻り、疲れて眠っていた。
それを、そばで見守る世子。切ない思いでいっぱいだった。
そこへ帰ってきたキム兄。
「何かあったのですか?」と、世子の様子に驚く。
「大切な人をそばに置きたいだけなのに、申し訳なくなる一方だ。
だから、お前には感謝している」という世子なのだった。
***
滋源堂を尋ねてきたユンソン。
キム兄と、庭で酒を酌み交わしている。
「王妃様の話は聞いた。ホン内官は無事か?」と心配するユンソン。
「世子様がそばにいらっしゃるから」と答えるキム兄。
「幼いころは仲が良かったのに、いつの間にか気まづく思うようになった」
世子との関係を語るユンソン。
「でも、初めて思う女人ができた。
もう隠さない。何かをここまで欲しいと思うのは、初めてなのだ」
キム兄に告白するユンソンなのだった。
王様の毒事件の真相を探る世子。
毒に詳しいサンノムの同僚や、茶山先生に、毒のことを色々相談していた。
「料理自体に毒が入っていたわけではない」ことまで、突き止めていた。
このことで、宮殿にやってきた茶山先生。
偶然、サンノムと会う。
サンノムが話していた「祖父」とは、この茶山先生のことだった。
「内官の姿」をしているサンノムに、茶山先生も驚いていた。
そこへやってきた世子も驚く。
「2人は知り合いか?」
毒の件を報告する茶山先生。
「犯人は、三彩だ」という。
三彩とは、「甘味・辛味・苦味」の3つの味のことで、
これが混じると、硫黄のような成分に変化して、銀の匙が変色するという。
目の前で、その料理をモリモリ食べて見せる茶山先生。
「西洋の知識ですが、このことは医院なら誰でも知っているのに、
何故知らないふりをするのでしょうか?」という。
やはり、大臣らの画策で、この件はふせられていた。
「世子様も、そろそろ宮殿に味方がいないことに、気づいてもよいころでしょう」
こう示し合わせていた臣下たちが、いたのだった。
***
つかまって、牢につながれていた父娘。
毒の原因が判明したことで、牢から解放される。
茶山先生のおかげで、「無実の民を救うことができた」と礼をいう世子。
ますます、宮殿への出仕をうながすが、はぐらかされてしまうのだった。
その別れ際、サンノムは茶山先生に、「母の安否」を尋ねる。
「今度会うときには、その話ができればいいのだが…」と答える茶山先生。
サンノムが母を切実に探していることを、知る世子なのだった。
世子の婚礼を強引に進める王様。
「礼曹の娘と婚姻し、味方を得るのだ」と一歩も譲らない。
世子が置かれている状況を、サンノムは痛いほど理解していた。
書庫にやってきた世子に、
「滋源堂まで送ってほしい」と頼むサンノム。
2人で歩く時間が、たまらなく愛しい。
「最近、私が一番幸せなのは、どんなときかわかりますか?」と聞くサンノム。
「世子様が、『ラオン』と呼んでくださるときです」
「私と同じだ」という世子。
「名前を呼べば、お前がそこにいるのだから」
それを聞いて、「これ以上何も欲しがらない」というサンノムに、
「私はもっと欲張るぞ。好きなら、欲が出るのは当たり前だろう?」という。
それを聞いて、「私は、もう世子様の者です」と答えるサンノムに、
嬉しくてたまらない世子。
「でも、私のために危険な目に合わないでください。
世子様のそばに、女人としていられなくても、恋する気持ちは消えはしません」
だから…
「婚姻を迷わないでください」
この一言を聞いた世子。
「何もいうな!!」と怒って、足早に去ってしまう。
涙を流して見送るしかないサンノムなのだった。
サンノムが言った言葉に、うつろになる世子。
実は、サンノムとのことを相談していた茶山先生からも、
同じようなことを言われていた。
「身分の差、すべての障害を克服できるよう、
手を貸してくれとおっしゃいましたね。
でも、あの子に必要なのは、世子様ではありません」
翌日、茶山先生のもとに行く世子。
そこで、ある決意をして、夕方、サンノムを呼び出す。
「風燈祭のときに話したことを、覚えているか?」と聞く世子。
「子供が子供らしく、女人が女人らしく幸せになれる国。
私がそんな国を作るまで、待ってくれるか?
私が作る新しい国の最初の民が、お前だ」
世子を見つめるサンノムに、世子が言葉を続ける。
「もしも、本当につらいとき。
何かを手放すとき。それが、私であってはならぬ。約束できるか?」
約束すると答える、サンノム。
「これで、私の願いはかなった。
お前の願いを叶えるのが、私の願いだ」
あの日、風燈に書いた言葉と同じだった。
「お前の母を見つけた」
驚くサンノムは、言葉も出ない。
そこへ、サンノムの母が現れる。
「遅くなったね、ラオン」
2人は駆け寄り、抱きしめあうのだった。
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